屋敷林に守られた農家の暮らしを体験する【井波塾】10/26~28開催されました

富山県西部に位置する南砺市「井波塾」の魅力は、なんと言っても、屋敷林に囲まれた農家さん宅で、「暮らしそのものを体験する」というまさにこの塾のテーマとするところを体現したもの。ちなみに、富山では、県の中央にまたがる呉羽山(くれはやま)を挟んで、向かって東を「呉東」(ゴトー)、西を「呉西」(ゴセー)と呼び、文化、生活、気質なども異なるとされています。

そして、もうひとつ、この塾の魅力は、井波と土山(どやま)、2つの地域に密着したプログラム内容であることです。塾長さんも2名体制です。ちなみに、開講式を行ったのは、井波地区の塾長であり、里芋農家さんである杉森桂子さん宅。この地方独特の、家の周囲を杉の木などで守る「屋敷林」(カイニョとも呼ばれます)に囲まれているお家。築150年以上の立派なお宅です。

屋敷林は、一軒一軒のお家が孤立している地域において、防風林や防雪林としての役目も果たします。さらに、家の周囲を囲む屋敷林があるおかげで、台所に立っているとその木々のすき間から、誰が来たかが分かる(しかし、相手からは見えない)「防犯」の役目も果たしているとか。

今回の参加者は、東京、神奈川、千葉など首都圏を中心に、20代の大学生から60代まで多彩な顔ぶれ。富山県への移住を検討されている方も。

一番右のオレンジのバンダナを巻いているのが里芋農家の杉森さん。実は、「知る人ぞ知る」な存在で、食いしん坊な方ならご存知かもしれませんが、グルメ漫画「美味しんぼ」の84巻「富山編」で「世界一の里芋」と絶賛されたほど。この井波地方、独特の土壌(表面は泥土、下は砂地)は里芋作りに適していて、ここで採れた里芋はねっとりと滑らか。里芋ってこんなに美味しかったんだ!と気付かされる美味しさです。

 

開講式のあとは、シンプルな塩むすびと豚汁などで、お昼ご飯タイム。富山でいま、話題のお米の新ブランド「冨冨冨(ふふふ)」と、コシヒカリの食べ比べです。ちなみに、「冨冨冨(ふふふ)」、お味のほどは、一度、食べてみてくださいね。個人的には「あっさりとしたうま味」でしょうか?(伝わりませんよね・・・汗)。この時期の新米なら、それはもう、甲乙、つけがたい美味しさ。

 

お昼を食べた後は、里芋の農作業にがっつり汗を流します。ご覧の通り、見渡す限りの畑。里芋の葉っぱって、子どもの背丈ほどもあって、大きいんですよ。ちなみに里芋の茎をズイキと呼びます。直売所などで売られているのを目にしたことがあるかもしれません。酢の物などにすると大変美味しいです。

杉森さんから説明を受けて、早速、農作業にとりかかります。里芋を掘り起こす作業と、さらに、掘り起こした里芋の株の土を払って、1個1個、小分けにしてゆくのが今回のミッションです。

皆さん、里芋ってどんな風に実るのかご存知ですか? 太い茎の下に、たくさんの子どもが群がるように、鈴なりにくっついているんです。

この大きな塊から、1個1個、里芋を外していくのですが、もちろんすべて手作業です。スーパーで見かける綺麗に袋詰された里芋しか知らないと、その陰に、どれだけ多くの人の汗と涙が流されていることか、お分かりいただけるでしょう(涙はありませんね)。

途中、休憩を挟みつつ。カゴの上に座ってしばし水分補給を。なんとも心なごむ風景です。

続いて、収穫した里芋をサイズごとに分ける作業です。機械の上部から里芋を流し込むと、大、中、小に異なる格子のすき間から、里芋が転がり落ちて、右側に置かれた段ボールに流れる仕組みです。なんともアナログですが、確かな仕事をしてくれます。

続いては、里芋を洗う作業。これも手作業で。木桶の中に里芋を入れて水にひたし、二本の棒を交差させて、里芋を洗います。何度かお水を交換すると、これが驚くほど綺麗に変身するのです。ちなみに、「いも洗いコンテスト」なるイベントも行われていて、今年は25チームがその仕上がりっぷりを競ったとか。

木の棒を交差させて、かき回していきます。

あらま!さっきまで真っ黒だった里芋さんが、こんなに色白さんに。もう既に美味しそう。

続いては、夕ご飯までの時間を利用して、台所で里芋コロッケ作り。じゃがいものコロッケと違って、ねっとりとしたクリーミーさが特徴。杉森家の里芋コロッケは絶品です。

美味しく揚がりますように!

 

そして、2日目。

この日は、土山(どやま)地区の青木さんが塾長となって、イワナ体験と、炭焼き体験です。

養殖場で、生きているイワナをつかまえます。網を片手におっかなビックリ。なかなかイキが良くてすばしっこいイワナたち。

そして、包丁でハラをさばきます。教えられた通りにサクサクと。皆さん、お上手ですね。

串に刺したら、炭火でじっくりと焼き上げます。これが本日の昼食になります。お楽しみに!

イワナの串を片手に、どんなもんじゃい?! バッチリ決まってますね!

 

そして、待ちに待ったお昼ご飯。地元の女性陣が腕を奮ってくれた御膳は、土地の食材や、富山らしさがふんだんに詰まって、まるでお店の懐石料理のよう。女性好みの盛りつけも美しく、これはぜひお店を始めてほしい、と切に願った次第です。

 

午後からは、炭焼き体験へ。顔や鼻の穴まで真っ黒になるとのことで、皆さん、マスク、汚れてもいい格好で完全防備。釜の中に入って焼かれた炭を出し、一定の大きさに切り分けます。まだ釜の中はあたたかい!

そして、ひたすら炭を切る!地道な作業です。

 

ご覧の通り立派な炭が完成。昔は、生活の必需品だった炭も燃料事情が代わり、今では貴重なものとなりました。土山地区で作った炭は、炭焼き料理を提供する飲食店などに卸されたり、需要はあるものの、決して楽な作業ではないため、若手で続く人がいないそうです。

そして、迎えた最終日。

この日は屋敷林のお手入れ。庭に落ちた落ち葉をはいて、まとめる作業です。広大な敷地だと、一人、二人ではとても重労働ですが、今回は助っ人も多数なので、あっという間に片付きます。ちなみに、杉の木の落ち葉を「スンバ」と呼ぶことから「スンバ」はきとも言われます。

最初は、こんなに、こんもりしていた枯れ木や落ち葉も。

 

作業袋に詰めて、隣の田んぼの空き地へせっせと運ぶと。

こんなに綺麗になりました! (before,afterが歴然ですね!)

気持ちいい汗を流した後は、最後のプログラム、里芋おはぎ作りです。ここ、井波を中心に南砺市で作られる里芋おはぎ。里芋とお米を一緒に炊いて、つぶして丸め、あんこやきな粉、ゴマをまぶしていただきます。昔はもち米を節約するため、里芋の粘りを利用したとか。

これが、1個、2個と、進む危険な美味しさ。胃に優しく、あっという間に3個ほどぺろりといけます。普通のおはぎよりカロリーも低く、ヘルシー料理として人気があるそうです。

農作業に汗を流し、この土地ならではのお料理を堪能した3日間。

屋敷林に守られての、農家さんの暮らしを満喫することができ、「本当に楽しかった」「また通いたい」など、参加者の皆さんからも喜びの声をいただきました。今回も、杉森さん、青木さんらお二人の塾長をはじめ、ご協力くださった地域の方々、本当にお世話になりました!