「8/22~24 五箇山なぎ畑塾が開催されました」

記録的な酷暑となった8月、今年3回目のとやま帰農塾となる「五箇山なぎ畑塾」が開催されました。今回の舞台は世界遺産である五箇山です。

合掌造りで有名な五箇山ですが、世界遺産になっている所以は「建物そのもの」というより、「今でもその家屋で生活が営まれている」という点にあるそうです。塾長の西さんのご案内と解説のもと、「まんが日本昔ばなし」に出てきそうな集落を散策します。今でもここで、人々が暮らしている・・・数百年前は当たり前だった暮らしも、今ではなんとも新鮮な景色です。

この日の夜は、合掌の里「竹中家」にて、伝統の報恩講(ほうおんこう)料理をいただきます。報恩講とは、字の通り、「恩」に「報いる」「講=集まり」のこと。現代ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、仏教宗派の宗祖の恩に報いる行事で、とりわけ、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の御命日にあたる11月28日前後に行われる「報恩講」は盛大な仏事です。この時、食されるのが報恩講のお料理で、お肉やお魚などは一切、不使用。お豆腐や煮豆など精進料理のお膳です。

お魚やお肉は使われていませんが、食べごたえのある五箇山豆腐や里芋など、お腹にどっしりたまるボリュームです。

続いて2日目は、塾の名前にも使われているメインプログラム「なぎ(焼き)畑」作業です。塾長の西さんはここで、在来種にこだわった「赤カブ」の植え付けを行っています。在来種とは、その土地に昔から存在する伝統的な野菜の種のこと。大量生産、大量消費の現代において、「不揃い、不安定、生産性が低く非効率」な野菜のため、今では作る人がほとんどいなくなりました。ですが、食べてみると、その美味しさは歴然です。西さんの赤カブは甘く、力強い味わいで、とにかく美味しいのです。

まずは枯れた草を取り除き、火を入れていきます。この日は猛暑で乾燥気味なので、火も勢いよく周ります。とにかく暑い中での文字通り「熱い」作業です。

火を入れて畑を焼くことで、その灰が畑の肥料になり、害虫の駆除にもなります。火を消した後は、モクモクとむせるような煙と戦いながら地面をならしていきます。作業しながら自分たちが燻製になったような気分に。

そして続いては、場所を移動してミョウガ収穫。皆さん、ミョウガってどんな風に育つのか知っていますか? ミョウガの葉っぱの根元の地面を少し掘ると、タケノコのようにミョウガの頭が覗いています。土から直接、出てくるんです。乾燥に弱く、水分を必要とするので、土の表面をワラや腐葉土で覆っているケースも。例年なら、ケースに何杯ものミョウガが採れるそうですが、あいにくの猛暑につき、ミョウガの育ちもやや遅れ気味です。

2日目の夜は、イワナ寿司など地元の食材を味わいながら、会話も盛り上がります。西さんお手製の赤カブのお漬物も大人気でした。

この日の夜は、地元に伝わる民謡「こきりこ節」で使われる楽器「ささら」作りに挑戦です。「こきりこ節」は、音楽の教科書にも載っているので、富山県民はもとより、全国的に知られた民謡でもあります。豊穣の祈りを祝う純朴な踊りですが、哀調を帯びたメロディと歌詞が不思議と胸に響くのです。五箇山生まれ、五箇山育ちのアキラさんが、鮮やかな衣装に身を包み、こきりこの舞いを披露してくれました。

ちなみに、手に持っているのが「ささら」。短冊形の薄い板を108枚(煩悩の数を払拭するという意味もあるそうです)、編んで作られた楽器の両端を持って音を鳴らします。鳴らとす「さらさら」音がするので、その名前がついたとか。この108枚の板を一枚、一枚、紐に通して編んでゆく作業が、なかなかの忍耐力を要する「修行」さながらでして・・・(手先の器用な方はあっという間に完成していました)。こうして足の親指で紐を押えながら板をくぐらせていきます。
一枚、一枚、編んでいっても・・・まだ、半分。

完成見本はこんな感じです。
自分たちで作った「ささら」を手に、輪になって「こきりこ節」を踊りながら2日目の夜は更けていくのでした。

そして、あっという間に最終日を迎え、この日は名物、五箇山豆腐作りにチャレンジです。独自の食文化が残る五箇山で、その代表的なものといえば「五箇山豆腐」。水気が少なく、縄で縛っても崩れないほど身がぎゅっとしまった堅豆腐で、大豆本来の味わいが楽しめる一品です。どっしりとした重石を乗せて絞るので、堅豆腐になるわけですが、使う大豆の量も普通より何倍も多いため、高価な豆腐となります。

豆腐屋のなかった山間部では、報恩講や法事、お正月など、「ハレ」の日にもてなす料理として豆腐は各家庭で手作りされていたそうです。

完成したお豆腐。綺麗にカットできたお豆腐よりも、崩れてしまった方がより「美味しく」感じられたのは私だけでしょうか?

五箇山の文化、歴史、食、人々。ディープな魅力にどっぷりつかった3日間。参加者の皆さんは「五箇山のファンになりました」「きっとまた戻ってきます」と嬉しいお言葉を口々に、それぞれの帰路につかれました。