「記録的な猛暑のなか、黒部塾が7/28~29、『熱く』開催されました!」

季節外れの台風の影響が心配された7月28日(土)、今年2回目となる帰農塾が開催されました。今回の舞台は、黒部市です。

黒部といえば、ファスナーで知られる「YKK」があること。そして「水の町」とも言えるほど、豊かな湧き水に恵まれ、暮らしと「水」が密接に結びついている地域です。

 

さらに、世紀の大工事として知られる「黒部ダム」もあるよね、と思われた方、黒部ダム、と名前がついていますが、住所は「黒部市」でなく「立山町芦峅寺(あしくらじ)」なんです。

 ここ黒部塾の塾長はJAくろべ女性部の部長を務める髙本一恵さん(写真左)。

どんな時も、明るく、前向きで、たくましい「太陽」のようなお母さんです。

 

 


対する参加者は、大阪や名古屋などから来られた4名。来月から、富山に移住されることが決まっている方も。

 

初日は、飯沢公民館で開講式を行った後、髙本さんらJAくろべ女性部の有志でつくる「黒部だいこんの会」の農産物加工場で、梅干しの天日干し体験を。「おにぎり」のノボリが目印です。

 

 樽から出された、ほんのりシソ色に染まった梅を、板の上に1個1個、丁寧に並べていきます。髙本さんの一声で、「梅干しとシソで顔を描く梅干しアート」に挑戦してみたり。

 

「ちょっと顔が長くないけ?」などと、みんなでキャッキャッ言いながら、楽しみながら作業に取り組みます。

 

続いては、「くろべ米」を作っている田んぼと農業用水の見学に加え、地区の営農組合でイチジクを作っておられる生産者さんにお話をお聞きしました。イチジクは漢字で「無花果」と書き、「花は咲かず、実だけつける果物」と思われがちですが、実際は、私たちが普段、食している部分は「果実」でなく「花」にあたるそうです。

 

その後、黒部峡谷とトロッコ電車が見える絶景の温泉「とちの湯」で気持ちの良い汗を流した後は、郷土料理「押し寿司づくり」体験です。

 

木の型に「クルミ」入りの酢飯をしきつめ、シメサバをパラパラとちらして、またその上に酢飯をかぶせていきます。その上から木の蓋でギュギュっと力強く圧をかけて、木の型を外せば完成です。ちなみに、香ばしく、ナッツのように食感のよい「クルミ」。ここ黒部では「クルミ」のことを「黒部」と呼ぶのだとか!

 

まさにここ黒部で受け継がれてきた郷土料理ですね。

 

今回作ったのは、白い酢飯と赤い酢飯、紅白の2種類。赤い色の酢飯は、黒豆でほんのり色をつけているのだそう。

 

その後は、地域の皆さんとの交流会のスタートです。

お皿いっぱいに盛り付けられた山菜料理やお煮しめ、天ぷらやカレイなど、どれもJA女性部のお母さんたちの愛情たっぷりのご馳走です。

 

終了後は、参加者の皆さんはそれぞれ、今晩、泊めていただく民家さんのもとへ。

それぞれのお宅で、おしゃべりの続きや、女子会(?)も行われたようです。

 

 

そして、2日目。

台風の進路は外れたものの、この日、心配されたのはフェーン現象による暑さ。38℃とも予報され、すでに午前中からぐんぐん気温が上がってきました。

 

この日、朝イチの体験は、黒部市で行われるイベントで売られるおにぎり作り。JAのお母さんたちは朝4時集合ですが、さすがに参加者の皆さんは6時半集合で。700個近いおにぎりをこさえます。

 

 

作業場にはクーラーが入っているものの、それを感じさえないほど暑く、熱気に包まれていました。

塾生の皆さんも途中から無言になって、黙々とおにぎり作りに励みます。

 

途中、「押し寿司と違うので、あまり力を入れすぎないように。ふんわりと」とアドバイスを受けながら、すっかりその姿もサマになってきました。富山といえば、「とろろ昆布おにぎり」。完成したおにぎりを手に、はい、チーズ。

途中、朝食を挟んで、再度、おにぎり作りに励みます。

 

その後、江戸時代につくられた農業用水「鏡野巻江」へ。ここで用水路にたまった落ち葉をさらう作業を行います。

 車で向かうものの、ナビにも登録されていない場所なので、地元の方でも自力でたどり着くのが難しい、なかなかディープな場所です。

 

 朝10時前のスタート時点で、すでに汗が流れる暑さ。髙本さんらJA女性部の皆さんの指導のもと、今は水の流れていない用水跡に、たまった枯れ葉をほうきでかき集めます。

 

ダクダクダク・・・という言葉が似合いそうな汗ダク状態です。

それにしても、もう、うだるような暑さ。

途中、冷えたスイカで休憩タイム。

 

 ここで、「巻江」についての解説を。

あまり聞き慣れない「巻江(まきえ)」という言葉。上の田んぼの余った水や漏れた水を集めて、下の田などに供給する小さな用水のことです。さかのぼること、今から160年以上前、江戸時代の後期、毎年のように飢饉に苦しんでいたここ「十二貫野」の台地に、「田んぼを作りたい、そのためには用水が必要だ」と、難工事を完成させたのが椎名道三というお方。

十二貫野用水の完成後、58本あった「巻江」の小用水も、圃場整備で、18本に減りました。

 今でこそ、水の町、黒部市ですが、かつて水田の水が十分に得られず、苦労した歴史があったのですね。

現在、使われなくなった巻江ですが、高本部長は巻江を掃除していると、昔の人々の「きれいにしてくれて、ありがとう」という声が聞こえてくるような気がするのだとか。そして、女性部の仲間たちに、清掃活動をしないかと呼びかけ、このような活動をされています。

 

汗を流した後は、「くろべ牧場まきばの風」で、富山湾を一望しながら自分たちで作った押し寿司やおにぎりの昼食をいただきました。

 午後の体験は、生地(いくじ)地区で「清水(しょうず)の湧き水めぐり」。

ここでガイドしてくださったのは、黒部市役所の王生(いくるみ)透さん。ジオパーク推進班係長でもあります。

 

 北アルプスの山々から流れ下る黒部川の水は地下水となり、生地のあちこちで清らかな湧き水となって地表に出てきます。この湧水のことを「清水(しょうず)」と呼びます。

 

生地地区には全部で20か所の湧水スポットがあり、そのうちの2か所を廻りました。

そのうちのひとつ、「清水(しみず)庵の清水(しょうず)」。

「奥の細道」で知られる、かの俳聖、松尾芭蕉が、越中巡遊の際この地を訪れ、こんこんと湧き出る水を見て「清水庵」と名付けたという言い伝えがあります。

 

ちなみに、2本ある水流は、それぞれ、地下40m80mから湧き出ており、その水量は1分間に600リットル。ほんのり塩分を感じたり、マイルドだったりと、味わいも微妙に異なります。

水温は1年を通じてほぼ11℃前後。水に手をつけてしばらくすると、ひんやりを通り越して冷たすぎるほどです。

 

黒部市生地には、湧水を利用した共同洗い場がいくつもあり、上の写真の通り、湧水口から3~4層に区切られています。上の層では、野菜などの食べ物を洗ったり、冷やしたり、下の層では洗濯など生地ならではの風景としても親しまれてきました。今では、観光ルートとして、多くの観光客にも楽しまれています。

暑さの中にも、一服の清涼剤のような時間でした。

 

あっという間の2日間。

 閉講式では、「黒部のことが好きになった」など嬉しい感想が飛び出しました。

 

記録的な酷暑のなか、準備をふくめ、当日まで、パワフルに塾生をご案内してくださった髙本塾長をはじめ、JAくろべ女性部の皆さま、本当にありがとうございました!