「生搾り」という昔ながらの手仕事で生まれる絶品お豆腐「長江屋豆富店」

エリア
富山・八尾エリア
目的
直売所・地産地消のお店

「おわら風の盆」で知られ、風情ある町並みが残る八尾町。

母方の実家であるこの町にUターンし、昔ながらの手作り豆腐を作る長枝春一さん。オープンは200723日。地域はもとより、噂を聞きつけた国内外からもお客さんが訪れる豆腐店です。

八尾町生まれ、東京で多忙なサラリーマン生活を送っていた長枝さん。50歳を迎え、定年と、この先の人生について考えるようになった頃、奥さんが偶然、手に取った雑誌で目にしたのが故郷、八尾町でした。「自然があって、水も良く、人もいい」。そんな印象に加え、そこには、八尾の歴史的景観と調和した、伝統的かつ現代風な建物が立ち並ぶ住宅地が紹介されていました。帰省した際、現地を見学すると、想像以上の素敵な建物に、「ここに家を建てて住みたい」と思い立ったそうです。

52歳で家を建て、55歳の早期退職にあわせて会社を退職。この先の仕事と生活はどうしようか、と考えた時、テレビ「人生の楽園」で、会津の山奥でお豆腐屋さんを営むご夫婦を知ります。「豆腐なら自分たちでも出来るかもしれない」。そう考え、思い切ってこのお豆腐屋さんを訪ねてみることに。そこで口にしたお豆腐は「日本一」と思ったほどの美味しさだったとか。

当初は自宅の敷地内に店舗を作ることも考えましたが、住宅街で、人通りも少なく、商売には向いていない立地。そこで、観光客も訪れる旧町で物件を探していたところ、空き家だった現在の物件に出会いました。諏訪町にある築130年ほどの、町内でも2番目に古い建物。1階部分は大幅にリフォームし、豆腐の製造スペース、事務所や倉庫を作りました。

豆腐作りは本を読んで独学で習得。豆腐キットを使って1か月半ほどの間、毎日、温度や量、タイミングなど試作を重ね、大豆本来の甘みが生きた豆腐が完成しました。大豆は富山県産大豆を100%使用。甘くて美味しいお豆腐が出来る「オオツル」という品種にこだわっています。

作り方は、本場、中国や韓国から伝わってきた、昔ながらの「生搾り」という製法。一晩、水につけてふやかした大豆をすりつぶし、生のまま搾って、豆乳とおからに分け、その豆乳のみを煮るやり方です。朝の4時半から仕込みをしても、完成するのはお昼頃。豆腐本来の作り方ではあるものの、手間暇がかかるため、現在では、この製法で作っているお店は稀だとか。

 

製造の機械は、富山県豆富商工組合さんの計らいで、廃業した豆腐屋さんの中古品を手に入れることに。「私が小学生だった頃は、八尾の各町内に12軒、お豆腐屋さんがあったものですが、どのお店も消えてしまいました」と長枝さん。

 

人気の品は、クリーミーな汲み豆腐「淡雪豆腐」、木綿豆腐を揚げた「ころころ揚げ」、絹豆腐を揚げた「お蔦」など。冬場は炭火で焼いた香ばしい焼き豆腐も人気。

長枝さんのお豆腐は、「一度食べたらスーパーのものは口にできない」と言われるほどの評判。

開店以来、テレビなど多くのメディアで取り上げられ、有名人がロケに訪れたことも度々。しかし、北陸の富山は雪国。冬は経済活動が滞りがちに。「4か月問題」といって、12月~3月を、いかに乗り切るかが商売の肝とされるそうですが、地方発送や、3か月毎に商品を発送する「定期便」などインターネット販売をはじめとする季節に左右されない売り方にも力を入れています。

80歳までお豆腐が嫌いだった人が「ここのお豆腐なら食べたい」と言ってくれたり、小さなお子さんが「「もっとほしい」とおねだりしたり、老若男女、幅広い方々に喜んでいただけることが豆腐作りの原動力になっているそうです。一度食べたらその優しい味わいに、すっかりファンになること請け合い。八尾町散策がてら足を伸ばしたいお店です。

長江屋豆富店

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