世界遺産に登録されている五箇山地域。
昔ながらの営みが引き継がれ、今はなかなか見られない日本の原風景が見られる場所の
一つとなっています。

そんな五箇山地域の中にある東中江地区は「和紙」の生産で栄えた場所であり、
今現在も「和紙の里」としてその技術や歴史を広めるため、道の駅内に体験ができる施設も整備されています。
そんな東中江地区の一角にある東中江和紙加工生産組合。
代表である宮本さんは、材料となる楮の育成から和紙漉きに至るまでは極力薬を使用せず、
昔ながらの製法を守り続けていらっしゃいます。















「化学薬品を使ってしまうと素材を痛めるため1000年もつ和紙にはならない。
日本には素晴らしい伝統文化や建築物がある。自分のところの和紙はそういったところにも
修復材として使われている。
伝統文化を守るためには、いくら手間がかかろうとも全て手作業で引き継がれたやり方を守らないと。」
と、宮本さん。
















「売薬の富山」を支えたのも実はこの(五箇山)和紙の存在でした。
産業の形が変化するのに合わせ、和紙の使用方法や取り扱い量も変化し、現在に至っては、
昔と同じ製法で和紙制作をする場所は数えられるほどしかありません。

宮本さんの楮100%で作られる和紙は、見た目のしなやかさからは想像もできないほどの耐久性があり、
京都の桂離宮や2018年6月にお披露目された名古屋城・本丸御殿の修復にも使用されています。

















五箇山という土地でしか作ることのできないその和紙を繋ぐため、宮本さんは
20代前半頃から和紙制作に携わり、2018年現在も現役で和紙作りに取り組まれています。
また、制作するだけではなく、五箇山和紙の素晴らしさを現場から直接伝えたいと、
約15年ほど前から独自でインターンシップの受け入れも行われており、多くの学生さんに
手仕事の大切さを伝える努力もされています。
そうして受け入れた学生さん達からもらった御礼や現状を伝える手紙の数々を
全て大事に保管している宮本さん。

















インターンシップに参加したことで日本古来の暮らしや考え方に心から共感し、
地元に戻ってから今までの人生とは全く違う道を歩み出した学生さんもいたとのこと。

悠久紙

また、その一方で、「五箇山元気な里山協議会」事務局の浦田さんは
「滞在時間の短い五箇山観光はもったいない!もっとここだけの古き良き文化や歴史を知ってほしい」と
着地型観光(滞在型プログラム)の企画・運営に日々忙しくされています。
(↓「豆腐づくり体験&うまいもの巡り」・「スノーシュー体験&雪上チーズフォン」の
                             ツアー企画検討会の様子)



















浦田さんご自身も五箇山への移住者。
2012年に南砺市の「相倉住まんまいけプロジェクト」を知り、応募した内のお一人です。
ものすごい倍率で残念ながらその時は抽選に外れてしまったものの、そういった方々を対象に近くの空き家を
紹介してくれる流れになり、翌年には川向かいの集落に移住。そして現在に至ります。













現在は五箇山元気な里山協議会の事務局を勤めながら、ご自身で薬草工房も立ち上げられ、
日々五箇山の自然からいただく恵みに感謝する日々を送られています。
また、4人のお子さんのお母さんでもあり、毎日本当に忙しくされています。

五箇山元気な里山協議会

そんなお二人が活躍する五箇山は深い山の谷間にある雪深い集落であり、設備の維持管理も大変なため、
宿泊するとなると旅館や世界遺産集落内の宿に泊まるのが一般的。
観光客は白川郷や金沢観光とセットで来る方が多く、2~3時間の五箇山観光後、早々と次の観光地へと移動してしまいます。
そういったことから、年間の訪問客数を見ればすごく立派な観光地であるのに、
それを維持するためのモチベーションに繋がる観光客と地元(人や食)の関わりが少ないのが現状です。


五箇山には昔から守り伝えられてきた数多くの歴史や遺産、文化、食べ物等が数多く残っており、
合掌集落だけを少し見学して、すぐに次の観光地へ移動してしまうのは本当にもったいない・・・
そんな状況を打破するためもあり、平成30年度から、
このお二人が中心となって「とやま農山漁村インターンシップ」の受け入れも始まりました。

インターンシップでは、和紙の原料となる楮の管理作業から着地型観光プログラムを企画・体験する活動まで、
五箇山にある資源をフルに使って新たな観光の形と世界的文化遺産の和紙について学び、考えます。

とやま農山漁村インターンシップ

また、東中江のみならず、五箇山全域に残っている「念仏道場」には、最近、日本遺産に登録された
南砺市井波の木彫刻の技術で作られた様々な芸術作品が残っています。
念仏道場は本来、富山に広く伝わる浄土真宗を教え広める場所とされていましたが、
五箇山では住人の精神的な拠り所や公共の集会所として現在も各地域で利用されています。



グローバル化やインバウンドが進む今の世の中だからこそ、日本人として、
日本古来の文化や思想、技術が残る五箇山に訪れてみるのはいかがですか??

五箇山はいつでも変わらぬ景色で訪れる人々を出迎えてくれますよ。