第4回 とやまを元気にする地域おこし協力隊研修 2/20開催されました!

富山県では20201月現在、44名の地域おこし協力隊が活動中です。本年度、ラストとなる4回目の本研修会では、かねてよりリクエストの多かった協力隊OB・OGとの意見交換会、県知事とのランチトークを挟んで、午後は「地方での生業づくり」をテーマに2名の講師にお話いただくという、一日がかりの研修会となりました。

まず、講師を務めてくさる3名のOB・OGから、3年間の活動と現在の生業について発表されました。

1)朝日町協力隊OB 服部大介氏

2016~2019年朝日町地域おこし協力隊。兵庫県姫路市出身。協力隊になったのは「働き方を変える」=「雇われ仕事の割合を減らして自分で稼げる様にしていく」ため。
・複業的生活▷同規模の小さな仕事を複数持つ。=雇用に依存せず、小さなナリワイをいくつか組み合わせる働き方。初期投資、固定費を限りなく少なくする工夫。
・テーマ▷「生きる力をつける」。自立力=自給力(必需品を買わずに手に入れる)+自活力(仕事を生み出す)+仲間力(同じような人々とつながる)
・移住地域▷朝日町大家庄地区
・受け入れ団体▷農事組合法人 ハイテック大家庄(水稲、大麦、小松菜など32.8ha
・ナリワイ作りでの取り組み▷養蜂(飼育群数を増やす、販売用瓶詰め、販路を開拓中)、サツマイモ栽培(植え付け量を倍増させる)、焼き芋販売(今年度中に出店を目指す)、エゴマ・ヒマワリ等の栽培

2)射水市協力隊OG 沼尻美帆氏

2016~2019年射水市地域おこし協力隊。千葉県生まれ。
・活動場所▷新湊内川地区。
・活動のひとつ:まちの賑わい創出▷イベント企画、フリーペーパー「ぶりっじ」製作、空き家調査、移住ツアー企画、「うちかわホリデイマーケット」立ち上げ

「うちかわホリデイマーケット」
▷「小さなまちなか百貨店」をコンセプトにした週末限定の屋内マルシェ。20184月スタート、第2・第4土日開催、2019年からは月1回開催、20184月~20193月で21回開催、1万人以上来場。▷自分のナリワイ作りに挑戦できる場。ここで実績を作り、本格的に事業を立ち上げたい人は内川の空き家に入ってさらにまちの賑わい創出を高める。
・立ち上げ▷実行委員会形式で行う(商店街会長、ケーブルテレビ役員、NPO、地域有志)

1回の住民参加型ミーティング、「地元のおっちゃん」に何でも相談

・資金190万円の内訳▷60万(協力隊活動資金)、30万(協賛金)、100万(クラウドファンディング)
・「うちホリ」から生まれたもの▷フォロワー(2430人)
▷地域とのコラボ(新商品開発など)
・協力隊の任期終了後、▷マーケット月1開催、運営チームを編成
・現在の体制 ▷地域運営チーム(地域商店街の若手30~40代)8名▷WEB・SNSチーム(サイト更新、SNS運営)2名▷当日運営チーム(常連の出店者)6名

3)氷見市協力隊OB 澤田典久氏
2015~2018年 氷見市地域おこし協力隊。NPO法人速川活性化協議会事務局長、BedKitchen SORAIRO マネージャー。

活動場所▷ 速川地区
・人口減少・高齢化による耕作放棄地、休耕田増加
・地域での自立再生▷6次産業化、稼げる地域へ

▷論田・熊無地区
・グランピングの実施▷若者や富裕層への発信、氷見の食材活用、中山間地の管理
・遊休施設の利活用&地域で稼げる地域▷付加価値をつけて交流人口を増やす

続いて、意見交換会で出たテーマ

・養蜂をはじめたきっかけやその販路について
SORAIROまでの交通手段や宿で提供する料理の修行について
・マルシェを立ち上げる際の資金繰りについて
・地域、行政を横断した地域おこし協力隊によるインバウンドツーリズムの可能性について
・行政とのコミュニケーションやかかわり方について

「行政とのかかわり方」については、多くの協力隊が直面するテーマですが、参加した行政職員から「行政をこんな風に使ってほしい」「行政の立場」などについても意見が飛び出し、アンケートでも、「協力隊と行政、それぞれの立場から、お互いを理解するのに参考になった」と感想をいただきました。

第二部:「地方での生業づくり」
昼食を挟んで午後からの講義は、自らの手で「生業」を生み出し、独自のアイデアと絶え間ない創意工夫でファンを獲得し続けるお二人にご登場いただきました。一人は、富山で活躍中の漁師であり(株)IMATO代表の東海勝久さん。もうお一人は、鳥取県智頭町で自家製酵母と国産小麦によるパンとクラフトビール「タルマーリー」のオーナーシェフ、渡邉格さん。

講師① 13:30~14:00 東海勝久氏(株)IMATO代表


・氷見生まれ。縁あって新湊で漁師になり、漁業権を得て、一人親方として漁を行いながら、収入の安定を模索していた時。そんな時にたどり着いたのがマコガレイ。最初はタダ同然で売り買いされていたマコガレイを「万葉かれい」と称してブランド化する。
・ヒラメの寄生虫騒ぎなども後追いして、カレイは一枚2,000円の値をつけるまでに。カレイ漁に挑戦したいと、関心を持つ若手漁師も手を挙げるようになった。
・ズワイガニの足を独自の製法で干したり、げんげなど富山湾の珍しい魚を干物化するなど、水産加工品にも挑戦している。

 

講師14001430 渡邉 格氏 「タルマーリー」オーナーシェフ

渡邉さんのお話は、「発酵」というテーマをベースに、日本の経済、資本主義にもからめた、とても興味深い内容でした。タルマーリーを一躍、有名にさせたこちらのご本を読まれた方ならきっと想像がつくかと思うのですが・・・田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」。

以下、講演でのお話を要点だけまとめていきます。

・東京生まれ。2008年千葉県いすみ市で自家製酵母と国産小麦だけを使うパン屋タルマーリーを開業。2011年、岡山へ移転、2015年、鳥取県智頭町へ。元保育園を改装、野生の菌だけで醸すパン、ビール、カフェで事業展開。著書に「田舎のパン屋が見つけた腐る経済」がある。
・「価値」とは「皆がほしがるもの」。この価値は「関係者=自分の商品を買ってくれるファン」たちで作る。
・現代は「安いもの=良い」という常識。
・タルマーリーの働き方:11時~17時、火曜、水曜定休、1か月有休(スタッフはこの間、コーヒー焙煎を学びにいったり、さらなるスキルアップ、ステップアップなどに活用している)まかない付き(2~3食/日)▷ きちんとしたものを食べて腸内最近が整うと従業員もハッピーになるから。腸内最近が悪い従業員がいるとパンの発酵にも影響する。
・肥料をあげすぎた作物は基本的に腐敗しやすい。
・意義のある商品ならまずくても構わない▷ タルマーリーのビールは「まずい!」というアンチも4~5割いる。それでも、一部の「すごく美味しかった!」というファンがいるので、そうした人々の「好き」がアンチにも影響する。
・自分で生業を起こす上で大事なのは「ファンを獲得すること」。
・自分が良い消費者になるために ▷「安いもの」でなく、「高いもの」を買う。食事でも安いもの、変なものを食べない。そこにかけたお金、消費した「品質分」のリターンが必ずある。
・価値観が画一化 ▷ どこも同じような味、商品の違いを認識しづらくなっている世の中
・価格競争がさらなる労働者の休みなし、長時間労働に駆り立てる
・未来への「不安」がお金を貯蓄に走らせる

・これからの時代 
▷「ヴィンテージ資本主義」伝統技術や古いものの洗い出し。空間、伝統、環境など。地方発の提案。「古いものほど価値が上がる」。
▷ 多様な仕事がある、多様な商品、サービスがある。「多様に耐えられる文化」。今後、タルマーリーは文化の発信地として、点を面に変え、多様な文化を受け止める基地としても発信していく。

会場では書籍販売も行われましたが、参加者の列が途切れず大盛況でした。

お二人に共通していたのが、「安いものが良い」とされる現代の常識の中で、「まっとうなモノにまっとうな価格をつける」「いかに付加価値をつけてモノの価値を高めるか」に尽力されてきた点。そして、地方というある種「閉塞感」の中で、時に逆境やアンチの風に向き合いながらも、「自分だけのブランド」を確立されている点です。

貴重なお話をしてくださった協力隊OB・OGのご三方、東海さん、渡邉さん、改めてありがとうございました!