伝統のなぎ畑に挑む「五箇山なぎ畑塾」8/21~23開催しました!

世界遺産の村、五箇山を舞台に行われるのが伝統のなぎ畑(焼き畑)を体験する「五箇山なぎ畑」塾。

絵本から飛び出したような、合掌造り集落に泊まりながら、この地に古くから伝わる先人の知恵を体験する3日間。

塾長は五箇山生まれ、いったんは東京で暮らした後、Uターンした西敬一さん。
初日は小雨降るなか、西さんの案内で、合掌造りの構造や暮らしについてお話をお聞きしながら散策を。

この「五箇山なぎ畑塾」では、西さんがこだわり続けている、「なぎ畑」(焼き畑)体験をメインに、五箇山に古くから伝わる文化を体験します。畑に火をつけ、焼くことで、灰が土壌を中和させ、肥料になり、殺菌や農薬も不要、土壌の改良や害虫などの防除にもつながる「なぎ畑」。

2日目は、タカンボスキー場の一角にある畑へ。小雨降るなか、準備した乾いた木片を重ねていきます。
並べた木片に紙袋などを乗せて燃えやすい工夫をし、雨の中でしたが、どうにか火がつきました。

土をならしていきます。

農作物にとって、美味しい土が熟成されていく時間。しばし火を眺めながら一息。

ここに、西さんがこだわり続ける在来種の赤かぶの種をまくのですが、この赤かぶ、市販のものと全く違って甘く、とても美味しいのです。
収量が少ない、形が均一でないなど、一般の流通には向かないため、ほとんどの人が生産をやめてしまった在来種の作物。これを口にすることができるのも、この塾ならではの魅力です。

午後からは、合掌の里にある、茅葺き屋根が展示された小屋で、西さんによる茅葺き屋根の構造や作り方についてレクチャーを受けます。
ところで、茅葺きの「茅」って何かご存知ですか? ススキなどイネ科の植物のことです。
間近に見ると一本、一本、かなり立派でしっかりした茅を使っていることが分かります。
屋根の上に登る貴重な体験も。

そろそろ日も暮れてきた頃。夕食のお楽しみが待っています。
この塾の魅力は、伝統食や伝統文化にふれる体験。夜は朱塗りのお膳に盛られた報恩講料理をいただきます。

浄土真宗が信仰されている富山県。とりわけ五箇山地域は信仰があつく、開祖である親鸞さんの祥月命日の前後に法要を行い、そこで出されるのが報恩講料理です。

硬く、その大きさに驚く五箇山豆腐をはじめ、ゼンマイや里芋の煮物、赤かぶの漬物などが並びます。肉や魚を一切使わない精進料理なのに、どれもボリューミーで食べごたえがあるのが特徴。

続いて、この五箇山に伝わる日本で一番古い民謡「こきりこ節」を披露してくださりました。踊り手は昨年も踊ってくれた東田アキラさん。
哀愁を帯びたメロディと、全身をダイナミックに動かす男性らしい舞です。これは五穀豊穣を祈り、百姓の労をねぎらうため、田植えや稲刈りの間に行われた踊りです。


手にもった楽器が「ささら」という民族楽器で、塾生たちはこの「ささら」作りに挑戦。

ささらは、短冊型の108枚の小板をつづった打楽器で、この板同士がぶつかり合うことで音が鳴る仕組み。足の指にたこ糸をくぐらせて、一枚、一枚、糸を通していきます。ちなみに、この体験版では70枚ほどの小板をつなぎ合わせます。手先が器用な人はさっさと完成、少しぎこちない人にはちょっと難儀する修行のよう。

完成したマイささらを手に、みんなで輪になって「こきりこ節」を踊ります。自作のささらの鳴り響く音が心地よく。

こうして2日目の夜は更けていくのでした。

3日目、合掌の里「竹原家」でいただく朝ごはん。この彩りの良いプレートは西塾長のお手製です。右上にある薄い黄色のスープは、かぼちゃのポタージュ。これがもう、レストランのような美味しさで、皆さん、お代わり必須でした。

美味しい朝食にコーヒーもいただき、会話も弾みます。

パン3種類は、南砺市で人気の「スリジェ」さん謹製。手前のつぶつぶ入りパンは、西さんが手掛けた雑穀、ヒエを生地に練り込んだ特注。これが香ばしくて大変、美味しいのです。商品化してほしいほど!

続く3日目の午前中は、五箇山豆腐作り。材料は大豆! 左側のボールにあるのが、ミキサーにかけた状態。
沸騰したお湯の中に、ミキサーにかけた大豆を戻して、木べらなどでかきまぜます。

お鍋の中身をさらしでこした後、おからと豆乳に分け、豆乳の方ににがりを入れます。

大きな木型に流し込みます。五箇山豆腐のイメージに近づいてきました。

上から重石を乗せるとどんどん水分が抜けていきます。

完成です。見事な厚みと大きさ。
お豆腐に見えないビジュアルですが、これが、紐で縛っても崩れない、五箇山豆腐です。一枚でも食べごたえあり!

あっという間に迎えた閉講式。西さんは「焼き畑は昔からの農法。現代では、人間がラクになろうと、化学肥料などを使って手間を省いているが、それでは昔からの農法が忘れられてしまう。五箇山に古くから伝承する在来種のタネをこの先も伝えていきたい」とその思いを語ってくれました。

一方、塾生の皆さんからは「継承するものがあるということは素晴らしいこと。地域活性化に自分でもかかわりたい」「卒論のテーマで参加したが、それを忘れてしまうほど夢中になった」など、すっかり五箇山ファンになってくれた様子。

次回は直接、五箇山を訪れて、ぜひ西さんを訪ねてみてくださいね!