啓翁桜
投稿日:2018年12月19日 | 最終更新日:2021年5月7日
カテゴリー: その他
山田の特産といえば、冬に愛でることのできる「啓翁桜」。2つの品種を交配して作られた寒緋桜(カンピザクラ)の一種で、細長い枝が何本も集まって、薄いピンク色の花をいっぱいに咲迎春用としても人気の啓翁桜は、もともと山形県生まれ。「じゃがいもや大根を作っていましたが、連作障害を防ぐための消毒コストなどがかかることから、『何か代わるものを』と啓翁桜に着目したのがきっかけ。現地に視察に行き、栽培を始めました」と、山田村花木生産組合の石崎貞夫組合長。
ここ山田で啓翁桜が生産されて23年。それまで、正月明けの1月6日前後に出荷されていましたが、お客さんからの「何とかお正月に間に合わないか」との声を受けて、開花時期の前倒しにチャレンジ。年内に出荷できるようになりました。
啓翁桜を咲かせるには、気温8度以下のもと、積算500時間を過ごすことが条件。その後、切り出した枝を40℃のお湯につけ込んで、「春が来た」と勘違いさせ、開花させる仕組み。寒さが足りないと綺麗に開花しないため、ここ山田の標高差のある地形はまさに栽培にうってつけ。蕾をふくらませるため、春のような気候を保つ促成施設でしっかり温度管理されるのも特徴です。
「注文は県外や全国からもいただいています。リピーターが多く、一人で何セットか購入される方も。需要は大きいので、本当はもっと、生産量を上げたいところです」と石崎さん。
現在、栽培に従事するのは15名ほどの農家さん。高齢化が進んでおり、後継者問題も課題。啓翁桜は、米や蕎麦と収穫の時期もかぶらないため、農閑期の「冬の仕事」としてはうってつけなんだとか。
「草刈り、肥料まきの作業など、地道な作業で年配の人でも取り組めます。花木はお洒落で、ある意味、若い農家さんに向いていると思います。この先、なんとかして生産量を上げるためにも、新規就農の移住者が来てくれたら良いのですが」と石崎さんは若い後継者に期待をかけます。
山田に眠るお宝、啓翁桜。冬の寒い時期ゆえ、一ヶ月はもつというこの桜から、一足早い春の訪れを感じてみませんか。